大規模介入は直ぐには効かぬが後は効く

	・金曜日の市場ではドルを売ってやるぞ 　という意気込みに満ち溢れていた。海外 　市場でこれまで中々突破できなかった 　117円の壁をクリアーに抜け、116円台 　前半まで売り込んだ。 ・さしもの日本の通貨当局も一旦は戦線を 　後退させたのかと思われたが116円40銭 　近辺から名前ははっきりしないがとある 　日本の銀行が117円台まで一手に買上げた 　といわれている。 ・週末の日本経済新聞の記事によれば何と 　2兆円規模での介入を実施したというでは 　ないか。2兆円といわれてもピンとこない 　方もいると思うのでドルベースに直すと 　おおよそ2百億ドルにも及ぶ介入を実施 　したということだ。 ・現状の市場では「戦争後」と言うことを 　早くも織り込み始めているようだが、やはり 　ドルは買えないという見方が支配的になって 　来つつある。 ・今回の戦争が生み出すものはアメリカに 　対する更なるテロの脅威と財政赤字だけとの 　見方が支配的になりつつあるからだ。石油 　に絡んでの利権など、そうしたマイナスの 　要因に比べれば取るに足らないという判断 　を下しているということだろう。 ・結果として日銀がどんなに頑張って介入を 　しても、一向にドル先安感が後退しない。 　寧ろ、日本の輸出企業等はドルの売り遅れ 　感を抱き始め徐々にドル売り注文の水準 　を切り下げ始めているという。 ・しかし、ここで先ほどの日銀が買い入れた 　ドルの金額を思い出して欲しい。生半可な 　金額ではない。アメリカの貿易赤字のほぼ 　半月分のドルを吸収していまっている。 ・3月期末に向けてややドルが余剰になると 　言う傾向が東京市場には見られるが、その 　余剰分を吸収し尚余りあるだけのドルを 　日銀が持っていってしまった。 ・こういうオペレーションは後から効いてくる。 　今のところは圧倒的にドルの先安感が強く 　ドルの上昇局面では確実にドル売りが入り 　頭の重たい印象を与えている。こういう状態 　の間はさほどの影響は出ない。 ・しかし、一旦ドルに関する相場観が中立に 　戻るような事があれば相当に効いてくる 　はずだ。 ・何しろ日銀が買った分だけ誰かがドルを 　売っているわけで、その金額から考えて 　とても実需のドル売りだけで賄えるような 　金額ではない。 ・ということはこの117円台前半というかなり 　狭い取引レンジの中で、知らず知らずの内 　にドル売りポジションが溜まり始めている 　ということだろう。 ・こういう時が危ない。ちょっとしたきっかけ 　があれば、ドルが思いのほか上昇してしまう 　ということもありえないことではなくなり 　つつある。 ・国連での「新提案可決」などという予想外の 　展開となった場合等がそうしたきっかけか。 ・ユーロもやや買い疲れが見え始めている。 ・思わぬ「ドルの逆襲」に足元を掬われること 　にならないよう用心しながらドルの高値は 　やはり未だ売りで攻めるしか無さそうだが。 ・「親の説教と大規模介入は直ぐには効かぬが 　後で効く。」